TWDです。
9月26日に、ニッカから、余市・宮城峡の限定商品が発売されるようですね。
アサヒビールのプレスリリースによれば、
「『シングルモルト余市』および『シングルモルト宮城峡』をさらにモスカテル樽やラム樽で熟成させ、両蒸溜所の個性を一層際立たせながらも、フィニッシュならではの個性をもつ商品を数量限定で発売する」
とのこと。ニュースソースはこちら。
さらに読み進めると、日本市場向けには「モスカテルウッドフィニッシュ」、米国・欧州向けには「ラムウッドフィニッシュ」が各3,500本、計14,000本リリースされるとのこと。希望小売価格は15,000円。またもや争奪戦となりそうです。
この影響からか、最近「フィニッシュってなんですか」とよく聞かれます。確かに、あまり耳慣れない言葉ですね。
簡単に言えば「フィニッシュ」とは「詰め替え熟成」であると理解しています。
ウイスキーは蒸留後、樽に入れて熟成させます。フィニッシュとは、いったん熟成させた樽から、他の樽へウイスキーを詰め替えて、さらに熟成させることです。よく「Matured(マチュアード)」と混同して語られていますが、マチュアードは文字通り熟成そのものを指しますので、フィニッシュとは別物です。
フィニッシュに使う樽の多くは、何かのお酒を熟成して払い出したものです。フィニッシュの狙いは、それらのお酒のニュアンスをウイスキーに追加して香味をより複雑で特徴あるものにすることです。
こうした「フィニッシュもの」の中でも有名なのは、20年以上前からフィニッシュに取り組むグレンモーレンジのカスクフィニッシュシリーズでしょう。定番ボトルである『ラサンタ』『ネクタードール』『キンタルバン』は、「樽の魔術師」の異名を持つビル・ラムズデン博士が、シェリー、ソーテルヌワイン、ポートワインの樽を現地メーカーとのやりとりで確保して作り上げたアイテムです。

・ラサンタ(シェリー)
・ネクタードール(ソーテルヌワイン)
・キンタルバン(ポートワイン)
・バカルタ(マディラワイン・限定品)
photo by K67
実に様々なお酒の樽がカスクフィニッシュに使われます。酒精強化ワインではシェリー、ポートワイン、マディラワイン、マルサラワイン、モスカテルワイン。もちろん通常の赤ワインも。蒸留酒ではコニャック、カルヴァドス、ラム、テキーラ。最近はビールまで。

・ルビーポートワイン
・マディラワイン
・ソーテルヌワイン
・トゥニーポートワイン
photo by K67

しかし、いったいどれだけの人が、これらのお酒を口にしたことがあるでしょうか。ネクタードールを飲んで「甘い」までは分かっても、それがソーテルヌワインのどの特徴に拠るものか、わかる人はどれだけいるでしょうか。せっかくのニッカのモスカテルフィニッシュですから、やはり、モスカテルのニュアンスがどのあたりで感じられるか、を知りたくありませんか?
そこで、このコラムシリーズでは、フィニッシュに使ったお酒、そしてその樽でフィニッシュをかけたウイスキーを比較テイスティングしていくことにします。Tasters.jpのコンセプトは「お酒のジャンル横断」。これを機会に、様々なお酒に興味を持ってもらえればいいな、と思ってます。
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【カスクフィニッシュを味わう】その2 モスカテルワイン – Tasters.jp
[…] 前回のコラムはこちら。 […]